ブログ 相続について

未成年と相続~未成年は遺産分割協議に参加できない?

未成年と相続手続きについてです。

亡くなった方の財産を誰が相続するかを決めるには、
①遺言書があれば、その記載通りに相続する。
②遺言書がない場合は相続人全員の話し合いで決める。
③遺言書がない場合は法定相続分で相続する。
このように決まります。②の話し合いのことを、遺産分割協議といいます。

遺言書があれば遺産分割協議をする必要はありません。
しかし、相続人に未成年がいる場合は、亡くなった方も高齢者ではなく方が多く、遺言を書いていないと思います。それで、今回は遺産分割協議と未成年について書きます。

タイトルの、相続人に未成年がいる場合、未成年は遺産分割協議に参加できない?は・・・ちょっと煽ってしまいました。

相続人に未成年がいる場合、未成年だけが遺産分割協議に参加しても、遺産分割協議は成立しません。

では、相続人に未成年がいる場合はどうするかというと、未成年の代理人が遺産分割協議に参加します。この手続きについて説明します。

相続人全員が成人(20才以上)の場合

相続人に未成年がいない場合、相続人全員が20才以上の遺産分割協議の手続きです。

まずは、相続人全員で話し合い、どの財産を誰が相続するかを決める遺産分割協議をします。
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遺産分割協議で相続する人が決定したら、その内容(どの財産を誰が相続するこになったのか)を書き記します。この書き記した書類が遺産分割協議書です。
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遺産分割協議書には、相続人全員が署名して実印で押印をします。そして相続人全員の印鑑証明書をつけます。相続人全員が実印で押印することで、遺産分割協議書の内容に相続人全員が同意していることが証明されることになります。
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遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書を使って、不動産の名義変更や預貯金の解約引出の手続きをします。

以上が遺産分割協議をした場合の手続きの流れです。
次は相続人に未成年がいる場合の手続きを説明します。

相続人に未成年がいる場合

相続人に未成年がいる場合でも基本的な流れは同じですが、遺産分割協議には未成年の代理人が参加します。
未成年の代理人とは親権者です。通常は親ですね。

遺産分割協議は、成人の相続人全員と未成年の代理人(親権者)で行います。もちろん未成年自身も参加して問題ありません。
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遺産分割協議で相続する人が決定したら、遺産分割協議書を作成します。
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遺産分割協議書に相続人全員が署名して実印で押印をしますが、未成年の署名押印ではなく、未成年の代理人(親権者)が署名・実印で押印をします。印鑑証明書も代理人(親権者)のものです。
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その後は同じですね。遺産分割協議書と相続人全員(未成年は代理人)の印鑑証明書を使って、不動産の名義変更や預貯金の解約引出の手続きをします。

では、なぜ未成年に代理人が必要なのか?
相続人に親権者が含まれていたら、親権者は未成年の代理人となれるのか?を説明します。

なぜ未成年に代理人(親権者)が必要なのか

なぜ、遺産分割協議で未成年に代理人(親権者)が必要なのか?

小学生であれば、遺産分割協議に参加するのは無理ですが、17才なら遺産分割協議に参加して自分の意見や権利を主張するこも可能では?と思いますよね。

しかし、遺産分割協議は法律行為です。
法律行為とは、例えば車を買ったり(売買契約)、部屋を借りたり(賃貸借契約)することです。未成年が車を買う時や部屋を借りる時は、親権者の同意が必要です。未成年だけで契約した場合、その契約を取り消すことができます。法律の知識や判断能力が十分でない未成年を守るためです。

遺産分割協議も同じで、未成年の利益を守るために親権者が未成年の代理となって遺産分割協議に参加をします。
遺産というと不動産や預貯金を思い浮かべますが、プラスの財産だけではなく、借金や債務などのマイナスの財産も含まれます。

悪い大人がいて「借金は未成年に相続させてしまえ。」となる可能性もありえます。そんな人はいないと思いますが、遺産を分ける話し合いで未成年の不利益にならないように、親権者が遺産分割協議に参加します

では、相続人に親権者が含まれていたら?
親権者も相続人である場合、親権者は遺産分割協議で未成年の代理人になることはできません。
親権者自身の利益を優先すると、未成年には不利益になります。利益が相反することとなり公平な判断はできません。

この場合は、親権者以外で未成年の代理人を選ばなくてはいけません。この代理人を特別代理人といいます。特別代理人は、家庭裁判所で選任されます。

相続人に未成年とその親権者がいる場合は特別代理人を選任!

相続人に未成年とその親権者がいるとは、例えば父親と母親と未成年の娘・息子がいるケースで、父親が亡くなった場合です。

 

上のイラストのような関係になります。
父親の相続人は母親と娘と息子の3人です。相続人に未成年の娘・息子とその親権者(母親)がいます。

この場合、父親の相続手続の遺産分割協議では母親は息子や娘の代理人となることはできません。娘と息子の代理人は家庭裁判所で選任された特別代理人がなります。

上のケースでは、特別代理人は2人選任されます。娘の特別代理人と息子の特別代人は別の人が選任されます。娘と息子の特別代理人が同じ人だと、利益相反になりますからね。
次に、特別代理人の申立の流れと誰が特別代理人に選任されるかを説明します。

特別代理人の申立、選ばれる人は?

家庭裁判所の申立

特別代理人の選任は家庭裁判所に申し立てます。
 ①家庭裁判所に特別代理人選任を申立てる。
 ②家庭裁判所が審理をして、選任。
 ③家庭裁判所から特別代理人選任の審判書が渡される。
以上の流れになります。

申立てのタイミングですが、申立時に利益相反に関する書類を提出します。この利益相反に関する書類は遺産分割協議書(案)です。ですから、遺産を把握した時点で申立てをするのがスムーズに進めます。
特別代理人として家庭裁判所から選任されていないのに?と大丈夫?と思うかもしれませんが、この時点では遺産分割協議書案です。これが最終決定ではありません。

特別代理人に選任されるのは誰?

特別代理人に選任される人は、申立書に候補者として記載された人です。
家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをする時に候補者名も記載します。家庭裁判所では、その候補者が未成年の特別代理人としてふさわしいかの審理(候補者への照会、聴き取りなど)をします。その結果、候補者を特別代理人として選任するか、またはしないのかを判断します。家庭裁判所が勝手に選任することはしません。

候補者は、未成年の叔父や叔母、祖父母がなるケースが多いです。私も依頼があった時は、祖父母や近くにいる叔父叔母で特別代理人として動いてくれる人をがいるか確認して、お願いしてもらいます。
未成年の利益のために判断しますから、実際に知ってる人が適任です。

相続手続き

特別代理人が選任され、家庭裁判所から選任の審判書が届いたら、遺産分割協議書を作成します。申立書に添付したのは遺産分割協議書案なので押印はありません。
正式な遺産分割協議書に相続人と未成年の特別代理人が署名・押印します。

不動産の名義変更や預貯金の解約引出などの相続手続きには、遺産分割協議書、印鑑証明書と特別代理人選任の審判書を添付します。

この未成年の特別代理人選任の手続きをしないと、遺産分割協議書は有効であるとみなされません。不動産の名義変更の手続きも、預貯金の解約引出しの手続きもできません。

特別代理人や相続手続きについてのご相談がありましたら、お問い合わせからご連絡ください。

代表の林潤(めぐみ)です。

身近にある法律問題や、高齢になって発生する問題などの不安・悩み・心配事に対し、依頼者と一緒に解決に向けて取り組んでいます。

「こんな事を相談してもいいのかな?」と迷うようなことでも、お気軽にご相談ください。相談者様の不安・悩み・心配事を解消し、笑顔になるお手伝いをさせて頂きます。

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